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2025/04/18 ミコトッキーブログ
2つの放鳥方法を深掘り!
先月投稿した「トキを放鳥場所付近に留まらせるためには?」というブログ記事では、「ハードリリース」と「ソフトリリース」の2つの放鳥方法について簡単にご紹介しましたが、今回はこの放鳥方法についてさらに深掘りしていきます!
早速ですが、2つの放鳥方法のメリットとデメリットを表にまとめてみました。
放鳥方法 メリット デメリット ハードリリース ①野生下で生きていくための特別な訓練(順化訓練)で得た飛ぶ力等をできるだけ維持したまま放鳥できる。
②トキを入れる箱さえあれば実施可能で、特別な施設は必要ない。
③箱を開ける役を市民から募集することで、市民のトキに対する関心が高まる。
④箱を開けて一斉にトキが飛び立つ様子が式典に向いている。
①トキが不慣れな場所で放たれるため、放鳥場所付近に留まらないおそれがある。
ソフトリリース ①放鳥したトキが放鳥場所付近に留まることが期待される。
②トキが仮設ケージの中で2,3週間程度生活するため、地域住民のトキに対する愛着が養われる。
①仮設ケージの設置費用がかかる。
②トキの仮設ケージ内での生活のために、天敵対策やエサやり等の費用や労力がかかる。
③順化訓練を経てトキの飛ぶ力が向上しているため、狭い仮設ケージ内での衝突が懸念される。
④仮設ケージの出入口を開放した後、いつ飛び立つかが読めないため、式典に向かない。
ざっとまとめてみましたが、ソフトリリースはハードリリースに比べて費用や労力がかかるといったデメリットが目立ちますね。
でも、海に囲まれた佐渡島と違い、他の市町村と陸続きである出雲市としては、放鳥場所付近に留まりやすいというのは大きいメリットです。
それじゃあ出雲市はどっちの方法で放鳥するの?と気になる方も多いと思います。
これに関しては、出雲市が好きな方法を選べるわけではなく、環境省が決めたルールに従わなければなりません。
そのルールとは、
①「仮設ケージからのソフトリリース」で放鳥を行うことを原則とする。
②ハードリリースでの放鳥を実施する場合は、「仮設ケージからのソフトリリース」との併用とする。
というもので、本当にやむを得ない理由がない限りはソフトリリースでの放鳥を行うことになります。
そのため、現在ソフトリリース用の仮設ケージの設置に適した場所を頑張って探しているところです。
ところで、皆さんは仮設ケージの設置場所ってどんな場所が良いと思いますか?
まずは「人目につかない目立たない場所」が良いと考えられます。
トキは臆病な性格の鳥なので、目立つ場所に設置して人が寄ってきてしまうと、パニックになってケージ内を飛び回りケガをしてしまうかもしれません。
次に「近くに用水路などの水の供給源がある場所」でなければなりません。
トキが仮設ケージの中にいる間は毎日ドジョウを与えるので、仮設ケージ内にはドジョウ用の簡易な池を作ります。
その池に水を入れるために、近くに用水路などの水の供給源が必要です。
そして「トラックなどの車両の乗り入れができる場所」であることも重要です。
仮設ケージの設置は業者さんにお願いすることになりますが、多くの資材を使うので、設置場所付近への車両の乗り入れができなければ、そもそも設置できない、もしくは設置費用が跳ね上がってしまいます。
👆ドジョウ用の簡易池
最低限この3つをクリアする必要がありますが、これってなかなか難しいと思いませんか?
人目につかない目立たない場所って、道が狭くて大きな車両の乗り入れが難しいイメージがありますからね。
ただ、いくら難しくてもやらなければならないので、良い場所を見つけられるよう頑張ります!