出雲とトキ

About
  • トキによるまちづくり

     出雲市は、平成22年(2010)に「出雲市トキによるまちづくり推進協議会」を発足し、各種団体と連携しながらトキをシンボルとした環境にやさしいまちづくりを推進してきました。
     平成23年(2011)には、トキによるまちづくりの指針となる「出雲市トキによるまちづくり構想」を策定し、令和元年(2019)にはトキの一般公開を開始しました。
     令和4年(2022)には、国のトキ保護増殖事業計画が本州でのトキの野生復帰に向けて変更されたことから「出雲市トキによるまちづくり構想」を一部改定しました。そして、令和4年(2022)8月、出雲市は石川県とともにトキの野生復帰をめざす里地(A地域:将来的なトキの野生復帰をめざし環境整備を進める地域)に選定されたところです。
     世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2024では、生物多様性の損失と生態系の崩壊は、異常気象と気候変動に次ぐ深刻な危機と言われています。
    全ての生物は単体で存在しているわけではなく、補い合い影響しあって生きており、ある種や遺伝子、生態系が失われると他の生物にも影響が及び、全体のバランスが崩れてしまいます。
     私たちの生活は、多くの部分が自然によって支えられており、人と自然が共生する社会を構築するためには、生物多様性の維持や地球環境の保全を積極的に推進していく必要があります。
     出雲市は、総合振興計画「出雲新話2030」において、「トキが飛び交う美しい出雲」を掲げ、出雲の自然を舞台にトキの野生復帰を目指し、持続可能な地域社会の形成に向けて取り組むこととしています。多様な生き物が生息する環境にやさしいまちであればトキも生息することができ、それは人にとっても住みやすい、暮らしやすい環境となります。
    合言葉は「トキも人も育つまちへ」。出雲市が有する総合力「出雲力」を活かし、経済と暮らしの好循環で、住む人、関わる人、誰もが笑顔になれるまちを目指します。
    トキについて知る
     出雲市は、平成23年からトキの分散飼育を開始し、令和元年度からは一般公開も行い、様々な形で啓発活動を行ってきましたが、令和5年度に実施した市の公式SNS登録者を対象とした認知度調査によると、トキ自体の認知度はほぼ100%と高いものの、トキの放鳥候補地に選定されたことの認知度は半数程度であり低い状況です。
     トキの放鳥・野生復帰には、市民・県民の理解と協力が不可欠であり、市民・県民がトキの放鳥を心待ちにしていただけるような機運を醸成する必要があります。
     また、なぜ出雲市がトキの放鳥・野生復帰に取り組むのか、その意義について発信していく必要があります。
     トキの絶滅した原因には、乱獲のほか、圃場整備や農薬使用などの農業の近代化による餌場の減少、森林の伐採によるねぐらの減少などがあげられます。
     多様な生き物が生息する環境にやさしいまちであればトキも生息することができ、それは人にとっても住みやすい、暮らしやすいまちとなります。
     出雲市トキ公開施設でのトキの一般公開や、出雲市トキ学習コーナーでの展示を通じて、トキをシンボルとした環境にやさしいまちづくりの価値観を市内外に向けてしっかりと発信していきます。
    トキの野生復帰実現のために
     トキはかつて山奥の鳥と考えられていました。しかし、佐渡で放鳥してみると、山奥に作られたビオトープではなく、田んぼやその周辺で採餌し、人家近くに巣を作るなど、里の鳥だということがわかってきました。トキはドジョウなどの小魚や昆虫などを食べますが、捕まえるのは上手ではなく、くちばしを使って水中、泥の中を探ってエサを探します。また、水に浸して食べるという習性を持っている水辺の鳥です。
     水辺の鳥、とはいってもトキの足は15㎝ほどしかありません。ですのでサギのように深い川や湖に入って魚を採ることはできません。一面に水が張られているよりも、ところどころ水のたまったような場所を好んでエサを探します。まさに田んぼのような環境です。
     冬になり、田んぼに水がないと、田んぼの水生生物はいなくなってしまいます。水路でエサを探します。
     夏になり、田んぼに稲が茂ってくるとトキは稲の間に体を入れてはエサを探せなくなります。草地やあぜ道でミミズを探したりします。
     出雲市では、再びトキが出雲の空を舞う日を願い、トキをシンボルとした環境にやさしい農業を普及していこうと考えています。環境にやさしい農業の普及は、結果として、トキの餌場環境の整備につながります。水田は、水生小動物を餌とするトキにとって重要な餌場となることから、有機農業等の普及が可能な農業技術体系の確立、餌場確保につながる水田管理体系の確立及び農業所得の向上に向けた販売戦略について、先進地の事例も参考にしながら取組を進めます。
     また、トキの野生復帰のためには、ねぐらや営巣に適した森林、餌場など生息環境を整備する必要があることから、国の放鳥要件を踏まえ、継続しやすい取組をまとめた生息環境基本指針を策定します。加えて、モデル地域において実証試験を行い、事業効果を検証しながら横展開を図ります。
     市内の主要な放鳥候補地域において餌資源量調査を実施し、現状における餌資源量を把握するとともに、餌資源量調査の結果及び環境保全型農業の普及状況を踏まえ、餌場環境(田んぼビオトープ等)の整備について検討します。
     斐伊川・神戸川流域は、自然豊かな水辺環境を有しており、ハクチョウやガンなどの水鳥や多くの水生動物の棲みかとなっています。保全すべき自然環境を有機的につなぎ、面的な環境整備を進めるため、関係する行政機関、周辺自治体及び民間団体と連携し、広域的な取組を進めます。
     私たちの「食の安全」を守ることができ、環境にもやさしい、里山で様々な生き物と共存できる、そんな農業を推進するとともに、森林を守り、水産資源を守っていくことで、出雲の豊かな自然環境を、次代を担う子どもたちへ残していきたいと考えています。
    出雲市トキとの共生まちづくり基金
     出雲市では、国のトキ保護増殖事業計画に基づき市が取り組むトキの分散飼育や、トキをシンボルとした環境にやさしいまちづくりの推進に要する経費の財源にあてるため、「出雲市トキとの共生まちづくり基金」を設置し、ご寄付を募っています。
     お寄せいただいた協力金は、トキの飼育繁殖のための費用のほか、住民団体やNPO等が行う環境保全活動への助成や、官民が協働して取り組む事業などの資金として有効に活用させていただきます。
     ご協力いただける方には、納付書をお送りいたしますので、送付先を出雲市トキ分散飼育センターまでお知らせいただきますようお願いします。
     また、出雲市トキ公開施設では、ガチャポン(カプセルトイ)で寄付をすることもできます。
     トキによるまちづくりの推進に向けて、皆様のご支援・ご協力を何卒よろしくお願い申しあげます。
    動画「出雲市がトキの放鳥候補地になりました!」
     令和4年8月に出雲市が「トキの野生復帰を目指す里地」に選ばれたことを受けて、放鳥に向けたPR動画を作製しましたので、ぜひご覧ください。


    DVD「トキの自然繁殖
     出雲市では、トキ飼育事業について紹介するためのDVDを作成しました。
     本編は、出雲市トキ学習コーナーでご覧いただけるほか、出雲市内の図書館でも貸し出しています。

    「トキの分散飼育~出雲にトキがやってきた」

    平成23年に佐渡トキ保護センターから出雲市に4羽のトキがやってきて、人工繁殖等によって10羽のトキが成長した様子を収録しました。
     本編 19分18秒
     ダイジェスト版 5分36秒
     ダイジェスト版をyoutubeでご覧いただけます。




    「トキの自然繁殖」

    人間が手助けする人工繁殖に比べ難しいとされる自然繁殖。親鳥が自然に近い形で卵を産み、ふ化したヒナを育てる様子や、その過程で起こる様々な問題を乗り越えて成長するトキの記録映像をまとめました。
     本編 20分58秒
     ダイジェスト版 5分41秒
     ダイジェスト版をyoutubeでご覧いただけます。
     
    トキによるまちづくりの最新情報をチェックしましょう
     出雲市が実施するトキによるまちづくりの最新情報は、出雲市公式ホームページでも配信されています。こちらもぜひご覧ください。