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2025/03/26 ミコトッキーブログ
トキを放鳥場所付近に留まらせるためには?
前回のブログでは、トキの放鳥に関して、下記のことをお伝えしていました。
トキには羽があるから、せっかく出雲で放鳥しても市外に飛んで行っちゃうかもしれない。
でも、放鳥した場所の近くに留まりやすくなる方法がある!!
今回は、その気になる方法についてお伝えしていきます。
皆さんは、トキの放鳥がどんな方法で行われているか知っていますか?
知っておられる方のほとんどは👇の写真の様子をイメージされたと思います。
これは「ハードリリース」と呼ばれる放鳥の方法です。
野生下で生きていくための特別な訓練(順化訓練)を受けたトキを、写真にある放鳥用の箱に入れて放鳥場所まで移送し、箱を開けて飛び立たせるというシンプルな方法です。
この方法だと、トキはいきなり見たことのない場所で放されることになるので、驚いてしまって放鳥場所から離れたところへ飛んでいく場合があります。
このハードリリースだと、せっかく出雲市で放鳥しても、市外に飛んでいく可能性が高いわけですね。
そこで登場するのが、ハードリリースとは全く異なる、放鳥場所付近に留まりやすくなる放鳥方法・・・
その名も「ソフトリリース」!!!
ハードとくれば、その反対はやっぱりソフトですよね~。
さて、このソフトリリースについてですが、まずはこちらをご覧ください。
仮設足場?こんな自然豊かな場所で何やら建物の工事でしょうか?
・・・もちろんそんなことはなく、これはソフトリリース用の「仮設ケージ」です。
仮設足場の資材で作られているので、何も知らないと仮設足場のように見えますよね。
ではこれを使って何をするのかというと、「ケージ」という名前のとおり、この中でトキを飼育するんです。
順化訓練を受けたトキを箱に入れて運んできて、仮設ケージの中で2、3週間程度飼育し、周辺の環境に慣れさせる。
そして、最終的に仮設ケージの出入口を開放し、後はトキが自分で外に出ていくのをじっと見守る。
これが「ソフトリリース」です。
いきなり箱をぱかっと開けて、飛んでいけ~!ではなく、じっと見守るんです。やわらかいですね~。
「見慣れた環境で、自分の意志で外に出る」から放鳥場所周辺に留まりやすいというわけなんです。
さて、ここまでハードリリースとソフトリリースについて紹介してきましたが、それぞれのメリットやデメリットなど、まだまだ紹介しきれていません!
というわけで、次回もこの2つの放鳥方法について、お話をしたいと思います。
お楽しみに!
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2025/02/25 ミコトッキーブログ
令和8年度に石川県能登地域でトキが放鳥されます!
令和7年2月14日、環境省は、令和8年度に石川県能登地域でトキの放鳥を実施する方針を決定しました。
能登地域は令和6年1月に大地震に見舞われ、現在も復旧・復興に向けた懸命な取組が続いています。
石川県は、トキの放鳥を“復興のシンボル”として位置づけ、令和8年度の放鳥を目指していますが、この度の決定によってその実現に大きく近づくことになりました。
同じくトキの放鳥を目指している出雲市にとって、一歩先を行かれた感はありますが、石川県は決して競争相手ではありません。
「トキの野生復帰」という大きな目標の実現のために共に頑張る同志です!
今後も情報交換をしながら、令和9年度の放鳥実現に向けて準備を進めていきたいと思います。
ちなみに、放鳥、放鳥と言っていますが、出雲市はただ単に「出雲市でトキを放す」ことだけを目指しているわけではありません。
トキには、羽があります。
羽があるということは、空を自由に飛べます。
空を自由に飛べるということは・・・
せっかく出雲市で放鳥してもどこに飛んでいくかわからない!!!
と、いうことです。
お隣の松江市、雲南市、大田市、飯南町はもちろんのこと、さらに遠くまで飛んでいってしまう可能性もあります。
しかし、出雲市が目指す「トキをシンボルとした環境にやさしいまちづくり」には、トキの存在は欠かせません!
人間の都合による勝手な願いではありますが、出雲市で放鳥したトキには1羽でも多く市内に留まってもらいたいのです・・・
果たして、そんな願いが叶うのでしょうか・・・
ここで朗報です!
なんと、トキが放鳥場所周辺に留まりやすくなる放鳥方法があるらしいのです!
どんな方法か気になるところではありますが、長くなってしまうので、またの機会にお伝えさせていただきます!
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2025/02/25 ミコトッキーブログ
田んぼに住む生き物たちの避難場所
前回予告していたとおり、今回は「田んぼの脇にある細長い水たまりの正体」についてお伝えしていきます。
これは「江(え)」と呼ばれるもので、簡単に言えば「田んぼの中に作る水路」です。
田んぼの中に水がない時期でもこの「江」には水が残っているため、水がなくなって住みかを失った生き物たちにとって良い避難場所となるのです。
“なんでわざわざ田んぼの面積を削ってまで「江」を作るの?”
皆さんの心の声が聞こえてきます。
田んぼの面積が減れば当然収獲できるお米の量も減りますから、そう思うのも無理はありません。
「江」を作る理由としては、主に次の2つがあります。
①田んぼに住む生き物の住みかづくりのため。
②田んぼの中の水を排水しやすくするため。
①については先ほど説明したとおりで、「江」は田んぼの中に水がない時期の避難場所として役立つので、生物多様性を守りたいと考えている農家さんはこの理由で「江」を作ります。
続いて②について。
お米を作る過程で、田植え後に田んぼの中の水を全部抜いて土を乾かす「中干し(なかぼし)」と呼ばれる作業を行います。
立地的に水が抜けにくい地域があり、そういった地域では田んぼの中の水を排水しやすくするために「江」を作っています。
農家さんが自身のためにやっていることが、結果として田んぼに住む生き物たちにも良い影響を与えている、ということですね。
👆は昨年の12月に撮影した写真です。
田んぼの中には水がありませんが、「江」の中にはちゃんと残っていますね!
現在生き物調査を実施している出雲市野尻町では、このような「江」が多く見られます。
「江がある田んぼ」と「江がない田んぼ」それぞれについて調査を行いますので、どれだけの差が出るのか、注目していきたいと思います!
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2025/02/05 ミコトッキーブログ
気になる網の中身は・・・
お待たせしました!前回のブログの続きをお届けしますね!
果たして、網の中に生き物はいたのでしょうか!?
※前回のブログを読んでいない方は、先にそちらをお読みください。
👆は網の中にいる生き物を探している様子です。
網の中に入った泥や草を白いバットに広げて、手やピンセットを使って生き物を探していきます。
サイズが大きかったり、よく動いたりする生き物は見つけやすそうですが、その逆だとかなり大変そうですよね。
それでは、苦労の末に発見した生き物を一部ですが紹介します!
👆は「コオイムシ」というカメムシの仲間です。
漢字では「子負虫」と書き、卵を背中に乗せて守る習性があります。
ちなみに、佐渡島にいる野生のトキは、このコオイムシを食べているそうです。
そして、👆の生き物は皆さんお分かりですね?
トキのエサとしてお馴染み(?)の「ドジョウ」です!
分散飼育センターで飼育しているトキにも毎日与えていますよ。
このドジョウは季節に関係なく生息しているので、冬場のエサ探しに苦労するトキにとってはありがたい存在なんです。
調査現場へは短時間の滞在でしたが、この他にも「ゲンゴロウ」などの水生昆虫を確認することができました!
冬って田んぼの周辺を歩いてもなかなか生き物が見つかりませんが、“水の中”には意外といるものなんですね~
・・・・・あれ?水の中?
皆さん、冬の田んぼって水が張られていないイメージがありませんか?
そういえば、網を入れていた場所って・・・
あ!やっぱり田んぼの中じゃないですね!
田んぼの脇にある細長い水たまり・・・水路でしょうか?
ということで、次回は生き物調査シリーズ第3弾として、この「細長い水たまりの正体」についてお伝えしたいと思います!
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2025/01/28 ミコトッキーブログ
出雲市での放鳥に向け、生き物調査を実施しています!
今月から、出雲市野尻町の一部の田んぼで生き物調査を実施しています。
これは出雲市でのトキの放鳥に向けた取組の一環として行っているものです。
トキのエサとなる生き物の生息状況を調査することで、トキがこの出雲で食べ物に困らず暮らしていけるかどうかを確認します。
「そういえば、野生のトキってどんなものを食べているんだろう?」と思った方のためにトキのエサとなる生き物をいくつか紹介します!
・ドジョウ ・カエル ・昆虫類(バッタなど) ・サワガニ ・タニシ など
ちなみに、トキは肉食性のため木の実などは食べません。
さきほど紹介したトキのエサとなる生き物は、基本的に田んぼやその周辺に生息していますが、季節によって状況が大きく変化します。
例えば、カエルや昆虫類は、夏には多く見られますが、今の冬の時期はほとんどいません。
そのため、今回実施する調査では、1年かけて季節ごとの生き物の量を調べていきます。
ところで、皆さんはトキのエサとなる生き物が一番少ない季節っていつだと思いますか?
そう、「冬」なんです!
皆さん普段生活していてカエルやバッタって冬は全然見ないですよね?
ということで、トキが出雲で暮らしていくためには、冬にどれだけのエサがあるかが重要になってきます。
いきなりですが、こちらは冬の生き物調査の現場です!
果たして、トキのエサとなる生き物は生息しているのでしょうか!?
お!たも網が水の中に入りましたよ!
この網の中には一体どんな生き物がいるのでしょうか・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
おっと、長くなってしまったので今回はここまで!
気になる続きは次回のブログで!
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2025/01/24 ミコトッキーブログ
期間限定で特別な展示をしています!
令和7年3月31日までの期間限定で、出雲市トキ学習コーナーにて、島根県立出雲養護学校の中学部生徒さんが作ってくれたトキ変身グッズ等を展示しています!
こちらが生徒さんが手作りしてくれたトキ変身グッズです!
頭の被り物にはきちんと冠羽も付いていて、トキの特徴がしっかり表現されていますね。
さらに、生徒さんが出演しているトキのクイズなどが収録されたDVDもいただいたので、施設内のモニターにて放映しています!
トキの羽の色や好きな食べ物といった基本的な話から、トキが日本で野生絶滅してしまった理由といった少し踏み込んだ話まで、楽しく学習することができますよ!
島根県立出雲養護学校の中学部生徒さんは、令和4年度からトキの学習に取り組まれていて、その成果として動画と変身グッズを作成されました。
展示コーナーには動画の感想を書くスペースも設けています。
生徒さんの励みになると思いますので、皆様ぜひ感想をお寄せください!
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2025/01/24 ミコトッキーブログ
あの「しまねっこ」が遊びに来てくれました!
島根県観光キャラクター「しまねっこ」が、なんとトキ公開施設とトキ学習コーナーに遊びに来てくれました!
その様子を一部ご紹介しますと・・・
👆トキと一緒に羽を広げるポーズ!
👆歴史的瞬間!?しまねっことトキの出会い
👆ソファーに座って一休み♪
しまねっこのSNSでは、当日の模様の写真や動画を見ることができるので、皆さんぜひご覧ください!
Facebook https://www.facebook.com/Shimanekko/
インスタグラム https://www.instagram.com/shimanekko_kankou/
X(旧ツイッター) https://x.com/shimanekko_
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2024/12/20 ミコトッキーブログ
イベントにてトキに関するクイズを出題しました!その結果は・・・
12月14日(土)、島根県立浜山公園体育館(カミアリーナ)にて開催された、出雲市PTA連合会主催「PTA絆プロジェクト★ビンゴフェスティバル2024」に参加しました。
このイベントは小中学生とその保護者が対象で、子どもたちにビンゴカードが配られ、景品ゲットのためにビンゴ達成を目指すのですが、そのビンゴ達成のための方法が独特でした。
私たち参加団体は、クイズや体験メニューを用意してブースを構え、各ブースには番号が割り振られます。
参加者の子どもたちは各ブースに行き、クイズや体験をすることで、ビンゴカードのブース番号に対応した箇所にシールを貼ってもらうことができ、シールが一列揃うとビンゴ達成となります。
トキ分散飼育センターのブースでは、トキが持つ特徴や歴史について知ってもらうため、クイズを3問出題しました。
例えば、1問目では👇のクイズを出題しました。
答えはお分かりですね?そう、②と④です。
1問目から意地悪すぎたでしょうか?でも、トキの特徴を知ってもらうためには必要なことなのです!
もちろん、出題の際に「答えは1つだけとは限りませんよ~」というヒントは与えていますのでご安心ください!
そしてこのクイズの正答率なのですが、なんと2割程度でした・・・
時期によって羽の色が変わるというのはトキの大きな特徴ですが、認知度はまだまだのようです。
ただ、答えの解説をすると、「そうなんだ!」「すごい!」というような反応も見られたので、参加者の子どもたちの記憶にはしっかりと残ったのではないかと思います。
出雲市での放鳥に向け、より多くの方にトキについて知ってもらうために、今後もPRを頑張っていきます!
さて、このトキの羽の色に関してですが、まもなく繁殖期に入るため、きれいなトキ色を見ることができる期間も残りわずかとなりました。
きれいなトキ色の姿を見たいという方は、お早目にトキ公開施設へお越しください!
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2024/10/15 ミコトッキーブログ
今年生まれた幼鳥を佐渡に移送しました!
10月9日(水)から10月10日(木)にかけて、今年生まれたトキの幼鳥5羽を新潟県佐渡市にある佐渡トキ保護センターに移送しました。
👆は出発前の積込の様子です。
移送箱に入れられた幼鳥たちが、飼育員により次々と移送車に積み込まれていきます。
そして分散飼育センターの職員やメディアの方々に見送られて出発しました。
佐渡トキ保護センターへの道のりは、まず新潟港まで陸路で向かい、そこからカーフェリーに乗って佐渡島へ渡り、再び陸路で佐渡トキ保護センターを目指します。
おおよそ20時間の長い旅になりますが、幼鳥たちは移送箱の中でじっと到着を待つことになります。
👆は佐渡トキ保護センターに到着後、飼育員が移送箱を受け取っている様子です。
無事に到着したようで安心しました!
移送後の幼鳥たちは、野生下での生活に必要な飛翔能力、採餌能力、群れ生活による社会性や人との共生を身につけるための訓練を受け、放鳥を目指すことになります。
この度移送した幼鳥たちは佐渡島で放鳥される可能性が高いですが、近い将来、出雲市で生まれたトキがこの出雲市で放鳥されるかもしれません。
その実現に向けて、引き続き頑張っていきます!
幼鳥はいなくなってしまいましたが、出雲市トキ公開施設では引き続き4羽の成鳥を見ることができます。
ちょうど今がきれいなトキ色を見ることができる季節ですので、皆様のお越しをお待ちしております!
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2024/10/08 ミコトッキーブログ
「トキ近似種エサやり体験」を開催しました!
9月28日(土)と10月5日(土)に「トキ近似種エサやり体験」を開催しました!
トキ近似種達には毎朝エサをあげているのですが、エサやり体験の日は参加者からエサをあげてもらうので、あえて毎朝のエサをあげずにお腹をペコペコの状態にしています。
そのため、お腹を空かせたトキ近似種達が、参加者が撒いたエサにすぐさま寄ってくるかと思いきや・・・
止まり木から動かない!
実はトキ近似種達は警戒心が強いため、見知らぬ人が入ってくると、まずは止まり木から様子を伺います。
そして、しばらく様子を見て「この人たちは大丈夫だ!」と思ったら👇のように下りてきてエサを食べ始めます。
👇のアジアクロトキは、なんと直接手の平に乗せたエサを食べちゃってます!(この男の子によると、くちばしでつつかれても痛くないらしいです)
いかがでしょうか?「トキ近似種エサやり体験」では、こうした体験が無料で楽しめますよ!
来年も開催予定ですので、皆さんのご参加をお待ちしております!